BirminghamのAirbnbに予定より早く着いた。約束時間に遅れないように気を配るCollieは、いつも渋滞があった場合のことを考慮して行動する。
もともと、他のAirbnbを予約したのだが行き違いになった。だから残ったのがBirminghamで徒歩圏内にCafe等がある場所として、ここが最後の場所だったのである。立地条件は最高だったのだが、「義母」という名前がついているので直感で嫌だと感じ、始めは他を予約しようとした。
だが、ホストとのやりとりは順調で、私はここへ来るのを楽しみにしていた。
20分ほど早い到着だったのでどうしようかと車の中で話していたら、家の中から女性が出て来た。「彼女がそうだよ」Collieが言う。私は戸惑った。Airbnbのプロフィールは、長めのダークヘアの女性が胸の開いたパーティードレスを着て胸に手をあてている写真だったからだ。想像では「Rose 遠い所からようこそ。ほほほ・・♪ くつろいでちょうだいね〜。」みたいな。
ところが、出て着たのは白髪のおかっぱ頭の地味な女性で、笑顔はなく暗い、良く言えば落ち着いた人物であった。
人は、実際 対面するまでわからないものだな、と思った。
家に入り、夫妻と会う。使用する部屋を案内され中へ入った。簡素な説明だったので即済んだ。
おおよそホスピタリティという言葉は当てはまらない。彼女達は、人と会うのが好きで、人をもてなすのが好きでAirbnbをしている訳ではないと感じた。お金が目的なのだと思った。それはそれで構わないのだが。
その日、部屋の中でCollieに話した。「ここは今までのAirbnbと具合が違うみたい。ごめんなさい。」
前に経験した BirminghamのAirbnb 2つは、宿泊がプラス1人までなら追加料金はなかったから、Collieは臨機応変に来れる時は来て・・という具合だったが、ここは2人の場合はプラス料金となる。なのでCollieはしっかり着替えを用意して来てくれた。料金は前の所より高いくらいなのに、なんだか居心地が悪い所で彼が毎日泊まることになって残念だった。
ここは宿泊している客が一応使ってもいい場所
しかし、どうも出て行き辛い。お金を払っていながら、ここにいるのは遠慮した方がいい気にさせられる。
出来ることなら客専用にあてがわれた部屋から出て来ないで欲しいと言われているように感じさせられた。
それでも、聞かなくてはならないことはある。Wifiの暗証番号だ。日本ではサイトを見ても表示されなかったから女主人に聞いた。すると、「ハウスルール(Airbnbのページ)に書いてあったでしょ。」とそっけなく一言。調べたけれど見つけられなかった旨は伝えたが。結局棚に置いてあるパスワードを書いた紙切れを指示され、終わったら戻しておくよう言われた。Collieと2人各自のスマホで試みたがうまくいかない。
たまたま日本の携帯会社が提供する世界データの接続時間が残っていたから、再度Airbnbのサイトを調べたら、アメリカではWifiのパスワードが表示されるページまで開くことが出来た。見ると、紙に書かれた手書きで 彼が「9」だと思った文字、私が「q」だと思った文字は実際には「a」であり、手書きでは「B」で書かれていたのは、正しくは小文字の「b」だった。これではアクセス出来る訳がない。しかし、手書きの間違いについて指摘出来る雰囲気ではなかったので、そのまま紙きれを部屋の外の棚に戻しておいた。
チェックインを済ませ、外出する私たち -
明日の日曜日はそれぞれの別行動が待っていたので、土曜日の夕方ミサに行く。周辺でいくつか教会があった中、Collieがちょうど4時からミサのある教会に目星をつけた。
もともと、ここのAirbnbは別の人が予約していたから泊まらないはずだったが、日本を出発する2日程前に空いているのを見つけて試みたのである。キャンセルが出たのだろう。
できれば、そこに住む人と和やかに過ごしたい。
初日、私は彼に聞いた。「ここの人たち、どう思う?」 そんな質問するのは、自分があまり彼らに対して明るいイメージを持てなかったからだ。 彼は、「人を理解するのには時間がかかるよ。」と言った。
その通りだ。私は彼の言葉を尊敬する。
その言葉をふまえた上で、今 私が思うこと。
もし、アメリカ人が彼女のような人ばかりだったら、私はアメリカを嫌いになっていただろう。
まさしく世で悪く言われる方の継母のイメージを感じさせた、義母という名のAirbnbであった。